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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
「…………」
「約束の三日目は過ぎて、今日はもう七日目ではないか。何とかして捜し出す工夫はないものだろうか。まさかお組は、焼きも捨てもしたはずはない。八五郎とかいうのが気が付くと、すぐ取って押えて、間もなく主君へ申上げたのだから、御墨付を始末する暇はなかったはずだ」
相沢半之丞、折入って平次に頼み込みました。お組が死んで七日目、これ以上愚図愚図して、公儀の耳にでも入っては、全くどうすることも出来なかったのでしょう。
「御胸の中は御察し申しております」
「それでは何とかしてくれぬか。拙者も腹を切るにも切られぬ破目だ」
半之丞は思わず吐息を吐きました。主君大場石見の暴圧を永年の間どれだけ緩和して来たことか、この人には、お組が言ったように、決して悪意のないことを平次も知り悉していたのです。
「旦那、私にはよく解っております」
「何が」
「御墨付は焼きも捨てもしませんが、このままでは決して出っこはありません」
「どうすればいいのだ」
「お人払いを願います」
平次の物々しい様子に、半之丞は立って縁側と隣の部屋を覗きました。
「誰も聞いてはいぬ」
「御墨付を手に入れるには、大場石見様が隠居を遊ばして、御家督を先代様の御嫡男、今は別居していらっしゃる、大場采女様にお譲りになる外はございません」