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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens

Aozora Bunko

ズイと出た平次、縁側の下に蹲る黒助を見下ろしてこう言うのでした。

「えッ、そりゃ親分」

黒助はギョッとして顔を上げました。二十四五のよい若い者、黒助という名とは似もつかぬ色白で、身のこなしも何となく尋常ではありません。

「よく知っているよ、なア、黒助兄哥、お前さんの父さんは御用金が嵩んだ上、上納が滞って水牢で死んだはずだ。兄妹二人、この怨みを晴らしたさに、お前さんは馬丁になって、厳重なる大場様の屋敷に入り込み、妹のお組は下女になって、用人の相沢様に奉公したが、容貌のよいのが幸か不幸か、とうとう側近くお世話することになった。これだけの事を知りたさに俺は房州まで行って来たよ」

「…………」

黒助はガックリ首を垂れました。平次の言う事が図星をピタリと言い当てたのでしょう。

「相沢様が御墨付を受取りに行った時、千載一遇の思いだったろう。お前は前の晩用意をしろと言い付けられると、早速青竹を切って来て水鉄砲を拵えた、これだよ」

平次はそう言って袖の中から七八寸の青竹、節のところに小さい穴をあけて綿を巻いた棹を突っ込んだ、一番原始的な水鉄砲を出して見せました。

「…………」