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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
ガラッ八は当らず触らずの事を言っております。
「近所にあんなのが居ちゃ癪にさわるねえ。お静さんもお静さんじゃないか、何だってまた黙って眺めているんだろう」
「そこがお静さんのいいところさ、お前とは少しばかり出来工合が違う」
「何だとえ、もう一度いって御覧」
「何遍でも言うよ、お静さんのあのボーッとしたところを親分が気に入ったんだ。そういっちゃ済まねえが、お町のようにピンシャンしてちゃ、親分の気に入るわけはねえ」
「畜生ッ、何とでも言うがいい。――ところで、あのお楽とかいう女は、どうだい」
お町はこう言われても大して腹を立てる様子もなく、お楽のことを根ほり葉ほり聞きたがっております。
「あのお楽ときた日には大変さ。ただもうネットリして、膠でねって、鳥黐でこねて、味噌で味を付けたようだよ」
「嫌だねえ、万一お静さんから親分を横奪りするような事があったら、このお町さんが生かしちゃおかないって、そう言っておくれ」
「少し物騒だね」
「何が物騒さ、あんな女に町内を荒らされる方がよっぽど物騒じゃないか」
お町はそういった女でした。お静と平次が一緒になると、ゲームに負けたような心持で、一旦綺麗に引下がってはみたものの、横合から変なのが飛出して、平次へちょっかいを出しているのを見ると、自分がいさぎよく引下がっただけに、打ち殺してもしまい