Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
「解りましたワ、親分、思い切って言ってしまいましょう。房吉は名を変えて、今では江戸の真ん中に住んで、親分が死んだと思い込んでいる三平と一緒に、相変らず悪事を重ねていますよ」
お楽の手はいつの間にやら平次の腕に巻き付いて、その少しほてった顔は、妙に悩ましく平次の緊張した顔を見上げるのでした。
「それは有難い。房吉、あの人殺しの房吉といわれた野郎と、兄弟分の三平はどこに居る、教えてくれ、お楽」
「その代り私のお願い、――」
「出来ることなら何でも聞く、――房吉はどこだ」
「…………」
お楽が何か言おうとした時でした。
「御免下さい」
お勝手の格子が開いて、ソロリと入って来たのは、石原の利助の娘で、平次には日頃恩にもなり、親しみも持っているお品。親の利助の病中は、その代りに子分どもを指図して、十手捕縄を辱しめなかった女ですから、見たところは弱々しい、出戻りとも思えぬ若くて美しいお品ですが、気象や才智は、並の男の三人分もあろうという女です。ちょうどこの時、
「親分、今晩は、ちょいとお静さんのお留守見舞よ、入っていい?」
表からは二軒置いて隣に住む、昔のお静の朋輩お町、それは、無抵抗で優しいお静にだけは兜を脱いでおりますが、外の女が平次に指でも差そうとしたら、狂犬のように喰い付いてやろうという恐ろしい女です。