Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
と喜八。
「人間は隠れちゃいないが、――俺は提灯の数を勘定したんだ」
平次は変なことを言います。
「提灯がどうしたというんだ」
「これほどの大家に提灯が二つしかないのを変だとは思わないか、兄哥」
「そういえばその通りだが――」
「狐が持出したかも知れない。とにかく、提灯を掛ける釘が十三遊んでいるよ」
二人は雇人たちに逢って、お夏の身の上のことを訊きましたが、誰も詳しく知ってる者はありません。
「親分」
清水の門を出ると、不意に声を掛けた者があります。
「あ、与三松か」
喜八は鷹揚に挨拶しました。相手は四十年輩の堅気ともやくざ者ともつかぬ男。
「ちょいとお耳に入れたいことがありますが」
「ここで言うがいい。――この人は俺の友達だよ。構わないとも」
喜八は平次を友達にしてしまいました。幸い江戸を離れると、神田の銭形平次もあまり顔を知られてはいません。
「外じゃございませんが、――行方知れずになった清水さんの掛り人のお夏という娘のことを、どうかしたら、浪人者の大井半之助さんが御存じじゃありませんか」
「それはどういうわけだ」
「親分は御存じじゃありませんか、――大井さんというのは、あの娘の後を慕って、ここへ来た人ですよ」