Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
六
六
二人はすぐ近所にささやかな借屋住いをしている、浪人大井半之助を訪ねました。「弱い武家」で通っているだけに、二十五六の良い男ですが、華奢で柔和で、どう見ても人間を誘拐したり、やくざ者を斬ったりする柄とは思われません。
「お聞きでしょうが、清水屋敷のお夏さんが行方知れずになりました。旦那は前からお夏さんを御存じのようですが、お心当りはございませんか」
喜八の言葉は丁寧ですが、抜き差しならぬ言質を掴もうとする意気込みだけは猛烈です。
「知らない。――何にも知らない。それで実は私も心配しているのだが――」
読みさしの本も手に付かない様子、腕を拱いて、青々した月代を見せます。
「お夏さんと、清水の旦那はどんな係り合いになっておりましょう」
「その事ならよく知っている」
大井半之助の説明は長いものでしたが、一と口に言うと、今から二十五六年も前お夏の父石崎金次という浪人者と、今は清水の主人になっている和助が、江戸で落合って懇意になり、木曽の御留山を伐り出して巨万の暴富を積みました。
その後和助は尾久に帰って清水の養子になり、持参金で財産を整理して、今日の大地主になりましたが、石崎金次はその後も清水和助の資本でいろいろの仕事をつづけ、二三年前旧悪が露見して、千住の宿で自殺して相果てました。