Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
二
「あれ、父さん、そんな事を」
お美乃はそう言う父親の口へ蓋でもしたい様子です。
「なるほど、そいつは凄かろう。――ところで、届けるところへ届けたのかい」
「面喰らっているから、何にもやりませんよ」
と金五郎。
「それでは後がうるさい。何を措いても町役人と、真砂町の親分に知らせなきゃなるまい。お前一と走り頼むぜ」
「ヘエ――」
日ごろ若旦那の雪之助に物を言い付けられている与八は、こんな時一番先に駆け出すように慣らされていたのです。
二
「こんなわけだ、――疑えば長屋中皆んな怪しい。怪しくないのは、ゆうべ小石川の叔母のところに泊ったお美乃と、眼の見えない按摩の佐の市だけさ。どこをどう突ついて、どう手繰ったものか、まるっきり見当が付かない。気の毒だが兄哥の智恵を貸してくれないか、恩に着るつもりだが――」
真砂町の喜三郎は、翌る日の朝早く神田の平次を訪ねて、こう打ち明けて頼むのでした。
平次と同年配で、日ごろ平次の腕や人柄に推服している喜三郎は、十手捕縄の誼を超えて、平次に親しみを持っていたのです。
大根畠の小町娘が、白痴の定吉に殺された事件(「人形の誘惑」参照)が、危うく迷宮入りになりかけたとき、平次の助けで厄介な謎を解いたことのある喜三郎。