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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
倅の佐の市が働き者で、お六の烏金などを借りるどころの沙汰ではなかったのです。
「ところで木戸を開けたり閉めたりするのは、お前さんの役目だそうだね」
平次はおよのに問いかけました。六十を越した一と掴みほどの老婆ですが、なかなか確りものらしく言うことはハキハキしております。
「ヘエー、役目というわけでもありませんが、木戸の側にいるのは私とお向うの与八さん夫婦ですが、与八さんは暢気者ですから、ツイ私が締めることになります。それにうっかり締め忘れたりすると、お六さんがやかましかったんです」
お六が木戸を警戒したのも、およのが木戸を締める仕事を引受けているのも、持てる者の弱さだったでしょう。
「その晩のことを詳しく話してくれ」
「鋳掛屋の岩吉さんが、本所の友達の祝事で遅くなるから、木戸は締めずにおいてくれと言いますから、そのままにして寝てしまいました。もっとも眠ったわけじゃありません。金五郎親方が酒を買って来たのも、岩吉さんが帰って来て木戸を締めたのもよく知っております」
「他に誰も入って来た様子はなかったろうな」
「宵のうちのことはわかりません、お勝手で仕事をしてますから。