Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
なるほど朝湯の証拠が揃ってやがる」
ガラッ八は腰から海鼠のような手拭を抜いて、鬢のあたりをゴシゴシとやりました。
「自棄に擦ると、小鬢が禿げ上がって、剣術使いのようになるぜ」
「鬢のほつれは、枕のとがよ――と来た」
「馬鹿だなア」
平次は腰を伸ばして、しばらくはこの楽天的な子分の顔を享楽しておりました。
「ところで親分」
「なんだい」
「不動様で思い出したが、今日は道灌山に東海坊が火伏せの行をする日ですよ。大変な評判だ、行ってみませんか」
「御免蒙ろうよ。どうせ山師坊主の興行に極っているようなものだ。行ってみるとまたとんだ殺生をすることになるかも知れねエ」
平次は御用聞のくせに、引込み思案で、弱気で、十手捕縄にモノを言わせることが嫌で嫌でならなかったのです。
「火伏せの行だから、火難除けになりますよ」
「家は借家だよ。焼けたって驚くほどの身上じゃねえ」
「呆れたもんだ――家は借家でも、火の車には悩まされ続けでしょう。こいつも火伏せの禁呪でどうかなりゃしませんか」
ガラッ八は自分の洒落に堪能して顎の下から出した手で、しきりに顔中を撫で廻しております。
「なるほど、そいつは耳寄りだ。