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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens

Aozora Bunko

「ところで、何を拾って来た」

「下手人は門前町の文七に違いありませんよ、親分。あの日道灌山へ行っていたことは皆んな知っているし、護摩壇の下に抜け穴のあったことも、前から知っていたって本人が言うそうですよ」

「それから」

「今でも滅茶滅茶に東海坊の悪口を言って歩きますよ。あの野郎が焼け死んだのは天罰だ。もう三月も生きていたら、この文七が殺すはずだった――って」

「三月は妙に刻んだね」

「無尽の金が取れるから、東海坊を叩き斬った上、倅の骨を持って高野山へ行く気だったそうですよ。自分が下手人だと白状しているようなものじゃありませんか」

ガラッ八は勢い込んで説明をつづけます。

「それっきりか」

「これっきりでも縛れるでしょう、親分」

「よし、よし、文七は無尽の金が取れるまで逃げるような心配はあるまい。まずそれは安心としておいて、――ところで、大徳屋はあの日夏羽織を着ていたのか」

平次は夏羽織の方に気を取られている様子です。

「着ていたそうですよ。多勢の人が見ていまさア。小紋の結構な羽織で」

「谷中へ引揚げた時はそれを着ていなかったね」

「ヘエ――」

「それで解った。八、一緒に来ないか、面白いものを見せてやる」