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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
「勇次郎の死骸は、殺し方があんまり念入りすぎたので、毒害したのを誤魔化すためだと思ったよ。瞳孔が散っているし、絞め殺したにしては上気していないし、舌の色が変っているし、毒害は間違いないと思った」
「…………」
「それをわざと物置から持出した大綱で絞めて、玄能で頭を割るのは細工が過ぎて本当らしくない。自分の非力を隠して、どこまでも他の男がやったように見せる気さ。――俺は最初から女の毒害と思っていたな」
「ヘエー」
「ゆうべ、晩飯の後で離室へ入ったのはお道だけだ。下女と一緒に行って、茶を立てたのを隠そうともしなかったのは、あの女の太いところさ。そのとき勇次郎の口占を引いて、謎の意味を大方覚ったに違いない――お茶に入れた毒に当った頃もう一度そっと行って、いろいろの細工をしたのは、恐ろしい胆っ玉だ」
「なんだって女のくせに勇次郎を殺す気になったのでしょう」
「勇次郎がお道の性根を見抜いて、兄に祝言をさせないように仕向けていたんだろう。それに三万両の大金を勇次郎が見付けると、人の好い荘太郎はみんなやると言った。――お道にしては、ゆくゆく自分の物になる金を、みすみす勇次郎に横取られるような気だったんだろう」