Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,804 characters · 225 screens
三
「大主人や若主人を怨んでいる者があったはずだが」
「さア」
お倉の臆面なさも、さすがにそれには答え兼ねました。
三
そのうちに、近所の衆や、土地の御用聞や、親類の誰彼まで集まって来ました。こう混雑して来ると、一挙にこの家の中に潜む、曲者を見付け出そうとする銭形平次の方法は、次第にむずかしいものになって行くばかりです。
番頭の金之助は四十二三の中年者で、狐のような感じの男でした。百姓の方は一向できませんが、算盤には明るいらしく、女房のお鉄と子供が三人、裏に一軒借りて井筒屋の帳場に通っております。
先代の死んだ時は泰道を説き落して卒中にさせ、それで自分の地位も、井筒屋の身上も安穏にしたつもりでいたのですが、二度目の毒死人でその尻が割れ、銭形平次にうんと油を絞られました。
しかし自分の家から通って帳場を一寸も動かない金之助が、味噌汁の鍋にとりかぶとを投げ込むはずもなく、これは幸いにして疑いの外に置かれました。
二番目の倅――若主人の弟房松は、腹異いのせいか兄の重太郎とは全く人柄の違った人間で、作男の与三郎と一緒に、朝から晩まで戸外で暮す男。菜っ葉と芋と麦の芽をいつくしんで、何の悔いもなく生涯を送ることのできる人間です。