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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,804 characters · 225 screens
そうすれば、兵太郎さんを殺した下手人はきっと捜し出して上げます」
「…………」
「あの晩、気分が悪いからと御両親を呼寄せ、御不浄へ行くと言って、お父様の手筐から鍵の束を取出し、それを誰に渡したんです」
平次の問いには隙間もありません。お輝は、とうとう、
「でも、そうしないと、兵太郎さんを殺すというんです」
「それは誰でした」
「知らない人。――手紙で細々と指図をして来ました。そっと兵太郎さんに相談すると、仕方があるまいと言うし」
「で?」
「鍵束を持って出ると、顔を隠した人が庭に待っていました」
「男? 女?」
「若い男の人でした。黙って鍵の束を受取って、奥蔵を開けて中へ入って行きました」
「鍵の束には幾つくらいの鍵がありました」
「十くらい」
「それでは蔵を開けるのは手間を取ったんでしょうね」
「いえ、わけもなく開けたようです。そしてしばらくすると出て来て、蔵の戸を閉めて、鍵を返したんです」
「その時、お父様に見付けられたのでしょう」
「え」
「もう一つ、――その顔を隠した曲者の姿をお嬢さんは見覚えがありますか」
「え、見たことのあるような恰好でした。でも」
十六の小娘からこれ以上は何にも引出せそうもありません。