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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,804 characters · 225 screens
この男は一国で剛情だから、ずいぶん肘突の茶入くらいは打ち割り兼ねないかも知れません。書画や茶道具に凝る親父を一番苦々しいと思っているのはこの男で」
「それから」
「もう一人は下女のお辰。――良い年増ですよ。――この女は道具屋の娘で、親父の仁兵衛は偽物の道具を扱ってお手当になり、母親はそれを苦に病んで死んだ後、井筒屋に引取られて下女代りに働いているんだそうで、骨董は親の敵みたいなもので」
「なるほどな」
「道具が次々と打ち壊されて、井筒屋重兵衛すっかり腐っていると、今からちょうど十日前、当の重兵衛がポックリ死んでしまいました。〈医者は卒中だというが、卒中で死んだ者の身体が斑になるはずはない――〉というのが投げ文の文句ですよ。〈怪しいのはそれを黙って引取った西海寺だ、再度のお調べを願いたい――〉と、手厳しいじゃありませんか」
「字は男の手か、女の手か」
「雌雄も解らないほどの下手っ糞な筆蹟ですよ」
「手を変えて書いたんだろう。――ところで主人が死んだ後でも、道具の壊しが続いているのか」
「ピッタリと止んだそうですよ、皮肉な野郎だ」
「フム、一向つまらない事かも知れないが、蓮華草を摘む気で行ってみるか」