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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,804 characters · 225 screens
「芯を止めた竹を切るんだ」
上から平次。
「いや、切っちゃならねエ、主人の俺が不承知だ」
いつの間にやら脇差を左手に持った直助は平次の横手から狙い寄っているではありませんか。振り返ると梯子段の上には、雌猫のようなお辰が、これも匕首を逆手に不気味な薄笑いを浮べて立っております。
「気が付いたか、直助」
平次は平然として、十手も出しません。
「野郎ッ」
サッと切りかける直助、引外して、平次の手から、二三枚の投げ銭が飛びます。
「あッ」
と、たじろぐ直助。それを見ると、後ろからお辰は雌豹のように飛付きます。
争いは一瞬にして決しました。平次がお辰を膝の下に敷いたとき、直助は二階の縁側から竹に飛付いて、真に猿のように、竹から竹を伝わって枳殻垣を越え、椎の樹を滑り降りて、下の往来に立ったのは、思いも寄らぬ見事な体術です。
しかし、直助にも違算がありました。往来へ飛降りると同時に、身体の備えもきまらぬところへ、
「御用ッ」
どこに隠れていたか八五郎のガラッ八、一世一代の糞力を出して、むんずと組み付いたのです。
*
植木屋の鋸に従って切倒される竹からは、贋造の小判がゾロゾロと出て来ました。