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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
(四十三)
、第4水準2-80-51)とは此に戦闘を開かねばならぬ。
(四十三)
はこの奥に棲んでいると見当は付いた。が、敵の方にも何んな準備があるか測り知られぬので、巡査等も容易には進み兼ねた。敵の方でも最初の石を投げた後は、鎮り返って音も為ない。
併し此のままに何時までも睨み合っていては、際限が付かぬ。塚田巡査は此に一策を案じ出した。
「松明を消せ。燈火を消せ。」
敵は最も火を嫌うのである。此方が火を消したならば、恐く勢いを得て突出して来るであろう。そこを待受けて囲み撃つという計略であった。守ること固きものは誘うて之を撃つ、我が塚田巡査は孫子の兵法を心得ていた。
※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)は果して人間よりも愚であった。松明の火が消されると共に、俄に石を投げ初めた。巡査等は身を屈めて其的に立つのを避けた。敵は愈よ増長して、穴の奥から二匹三匹這い出して来た。彼等は我が術中に陥ったのである。
「占めたッ。」
巡査は心に喜んで、闇を探りながら衝と寄って、其の一匹の襟首を掴んだ。が、敵も中々素捷かった。忽ち其手を払い退けて、口に啣えたる刃物を把直した。