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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
(六十四)
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今から六百余年前の弘安年中に、元の蒙古の大軍が我が九州に襲って来た。北條時宗邀え撃って大いに之を敗ったことは、凡そ歴史を知るほどの人は所謂「元寇の役」として、誰も諳じている所である。
この大戦に参加したのは九州の諸大名ばかりでない。鎌倉からも出征した、東海東山中国からも出征した。其当時、飛騨国の地頭職は藤原姓を冒す飛騨判官朝高という武将で、彼も蒙古退治の注進状に署名したる一人であった。
(六十四)
朝高は異国の敵を撃破って帰った。彼は凱陣の家土産として百人の捕虜を牽いて来た。飛騨の国人は驚異の眼を以て、風俗言語の全く異れる蒙古の兵者を迎えた。
彼が捕虜を牽いて来たのは、単に其功名を誇るが為では無かった。九州の戦闘に於て、最後の大勝利は幸いに我に帰したけれども、初度の戦闘は屡々我に不利益であった。敵のと我の弓矢とは、其威力に於て著るしい相違があった。朝高は早くも之を看取して、我も彼と等しき巨砲を作ろうと思い立ったのである。が、其製法を知る者は日本に無いので、彼は居城高山を距る一里の処へ新に捕虜収容所を設けて、ここに百人の蒙古兵を養い、彼等に命じて異国の※(「石+駮」