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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
(四十九)
が、其の一刹那に講師が認めた彼の姿は、極めて背の低い、殆ど赤裸で、皮膚の色は赭土色で……。」
云う事毎に符合しているので、市郎も巡査も同時に叫んだ。
「むむ、それから……。」
「それから講師が現場を調べて見ると、そこには賊の刃物が落ちていた。能く能く研究すると、これは古代の羅馬人が持っていた短い剣の類であった。而巳ならず、其附近にはローマンケーヴと昔から呼ばれている岩穴が有る。それや是やを綜合して考えると、賊はピキシーと云う怪物でも何でも無い、恐く古代の羅馬人であろうと鑑定した。が、土地の者は容易に之を信じないで、矢はりピキシーの仕業だと云っていたので、講師は更に斯う云う説明を加えた。」
(四十九)
の正体も漸々に判りかかって来た。忠一は咳して又語り続けた。
「ピジョン講師の説明に拠ると、其昔羅馬人が英国へ侵入して来た時に、其一部が戦闘に敗けて此の地方へ逃げ込んで来た。が、固より敵地であるから、到る処で追詰め追巻られた結果、山の奥深く逃げ籠って了った。其子孫が相伝えて今日に至ったのである。と云ったら、男ばかり集っていて、何うして子孫が絶えぬかと云う疑問が起るに相違ないが、彼等は夜に乗じて麓の里へ降って、見当り次第に小児を攫って行く。