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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
(七)
、第4水準2-80-51)を頼んで、意趣返しを為せますよ。」
お前ならば山女郎の方が可かろうと云おうとしたが、戯っていると長くなる。市郎は黙って首肯いて、早々に立去った。
(七)
「おや、角川のおじさん被入しゃい。市郎さんも……。さあ、どうぞ……。」
吉岡の母お政は、喜んで安行父子を迎えた。吉岡も隣村では由緒ある旧家で、主人は一昨年世を去ったが、お政との間に二人の子供があった。総領は忠一と云って、帝国大学の文科に学んでいる。妹の冬子も兄と共に上京して、某女学校に通っていたが、昨年無事に卒業して今は郷里の実家に帰っている。地方には能くある習、角川の市郎と冬子とは所謂許嫁の間柄で、市郎が医師を開業すると同時に、めでたく祝言という内相談になっている。勿論、二人の間に異存は無かった。
斯ういう関係であるから、昔から両家は殆ど親類同様に親しく交際していた。殊に主人が死んだ後は、吉岡の家では何かに付けて角川一家を力と頼んでいた。
安行父子が座敷へ通ると、今年二十歳の冬子も笑顔を作って出て来た。
「東京の倅の方から一昨日手紙が参りまして、冬子の婚礼に就て来月初旬には必然帰って来ると云うことでした。