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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
第一、太すぎらあ」
「川ん中で、芋を洗うのじゃああるめえし、棒を持ってどうするんだ」
小太郎が
「父上、あれは、休之助ではござりませぬか」
「ちがいない」
「一人で――」
と、いった時、八人仕立の輦台は、川水を突っ切って、白い飛沫を、乳の上まで立てながら、ぐんぐん走っていた。
「小手をかざして見てあれば、ああら、怪しやな、敵か、味方か、別嬪か、じゃじゃん、ぼーん」
「人様が、お笑いになるぜ」
「味方の如く、火方の如く、これぞ、真田の計、どどん、どーん」
「丸で、南玉の講釈だの」
「あの爺よりうめえやっ、やや、棒槍をとり直したぜ」
「やった」
益満の輦台が、追手へ近づくと、長い棒が一閃した。一人が、足を払われて、見えなくなった。何か、叫んでいるらしく、一人を水へ陥れたまま、益満の輦台は、追手の中を、中断して、池上の方へ近づいた。もう、金谷の磧へ、僅かしかなかった。水の中で閃く刀、それを払った棒。追手を、抜いて、二人と一つになると、すぐ、益満の輦台だけが川中に止まって、二人は、どんどん磧の方へ、上って行った。追手の五人は、益満一人に、拒まれて、何か争っているらしく、動かなかった。