Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
娘で間に合わそ、か
てな、事なら、何うであろ
雨の十日も、降ればよい
それから、大声になって
「とこ、鳶に、河童の屁」
と、怒鳴った。
七瀬と、綱手とは、お守袋を、床の間へ置いて、掌を合せて、夫と子供の無事と、自分ら二人の道中の無事を、祈っていた。
「やーあい、早くう、飯を持って来う」
腹がへっても、空腹ゅう無い
大井の川衆にゃ、着物が無い
可哀や、朝顔お眼めが無い
俺の懐、金が無い
それは、だよ、案じるな
娘に惚れたで、お眼めが無い
「お待ちどお様」
女中が、膳を運んで来た。
手前の面には、鼻が無い
女中は、膳を置いたまま、物もいわないで行ってしまった。七瀬と、綱手とが、声を立てんばかりに笑った。
廊下も、上も、下も、喚声と、足音とで、いっぱいであった。
「ええ――」
番頭が、手をついて
「まことに申しかねますが、御覧の通りの混雑でござりまして――それに、ただ今、急に、お侍衆が七人、是非にと――何分の川止めで、野宿もなりませず――済みませんが、女子衆を一つ、相宿ということに、お願い致しとう存じますが――」
番頭は、手を揉んで、御辞儀した。
「相宿とは?」
「この御座敷へ、もう一人、御女中衆をお泊め願いたいので、へい」