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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
何うも、重豪公の血をお受けなされて、放縦じゃで、何んとかせにゃならん――それで、牧、今申したのう、これが、別れと――術を競べて――」
「いいや、秘術競べのみでなく、或いは反対党の刺客の手にかかるやも計られませぬ」
「人数を添えてつかわそう」
「有難う存じます」
「倅に逢うたか」
「未だ、只今、着きましたばかり――」
「よい若者になったぞ」
調所は、鈴の紐を引いた。遠いところで、からからと、鈴が鳴った。
「船で参れ。陸は人目に立つ」
「はい」
牧の倅の伴作は、調所の許へあずけられ、百城月丸と改めていた。主を、主の筋に当る人を呪っている牧の倅として、万一の時に、調所の手で適当な処置を取って貰おうとする、仲太郎の親心からであった。
「ひどく、おやつれになりましたが――」
月丸は、不安そうな口吻で聞いた。
「痩せた」
牧は、壮健に――暫く、見ないうちに、大人らしい影の加わって来た倅を見て、調所へ
「御世話を焼かせましょうな」
と、微笑した。
「何、捨てておいても、大きくなる。犬ころじゃ、この時分は。あはははは――嫁を、貰うてやろうかと、考えておるがのう。存じておろう、浜村孫兵衛」