Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
「御覚悟は、ござろうが、何う挨拶申し上げてよいか――」
百瀬は、俯向いた。袋持は、腕組して、天井を眺めて、吐息した。
「八郎太殿は、斬死、小太郎殿は、生死不明――」
「生死不明とは?」
「斬り抜けるには、斬り抜けられたらしいが、それから、何うなされたか? 牧氏の人数が、二十余人、その中へ、二人での斬込では――」
「二十余人?」
綱手の声は、顫えていた。
「八郎太は、斬死」
七瀬は、ここまでいうと、声がつまってしまった。四人は、暫く黙っていた。
「八郎太は、斬死致しましてござりますか。本望でござんしょう」
七瀬は、こう云うと、微笑した。
「頑固一徹の性で――何う諫めましても、聞き入れませず――」
百城が
「小太郎殿は、京の近くに、知辺でもござろうか」
と、母子の顔を見較べた。
「いいえ、知辺など――」
「うむ――知辺もないと――」
百城は、腕組をして俯向いた。袋持が
「深手で、山の中へでも、倒れておられるのではあるまいか」
「さあ――坊主共が捜したらしいが、かいくれ、行方が判らぬ。深い山だからのう――御二人の前ながら、八郎太殿の性は存ぜんが、武士としては、かくありたいもの、のう袋持」