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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
「心得た。わしも、手助け致そうが、その毒薬を、そちは飲むのか」
「蘭法にて、何んとか加里と申すようにござりますが、口へ入れると、すぐ、ころり――」
「試みたか」
「犬に試みました。まことに、鮮かに、往生仕ります。老体のことゆえ、長い苦しみは致しとうござりませぬ。なめると、すぐに、ころり。一名、なめころ、と申します。あはははは。いや、こうして居る内にも、時刻は経ちまするから、それとなく、暇乞をするところだけは、今日の内に廻って、明日早々より後始末ということに致しとう存じまする」
「由羅には、申さぬがよいぞ。死ぬなどと」
「はい、御部屋様には、例の方の始末の話もあり、ただ今より御伺い申しましょう」
調所は、こういって立ちかけた。
「笑左、伊勢へ、密告した奴は、斉彬に加担の奴ではないか」
「で、ござりましょうが、手前にとっては、よい死際、憎い奴でもござりませぬ」
「存じているなら、名を申せ」
「さ――いや、ただ心当りと申すだけ――申しますまい」
調所は、立上った。
「笑左、本当か、真実露見致したのか」
「これは、異なことを」
「※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)のように思えてならぬ。