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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
「よい話と心得まするが――ほんの暫時、御人払いを――」
「ふむ――」
斉彬が、何んともいわぬ先に、若い人々は、写真を置いて
「遠慮仕ります」
と、立上りかけた。
「待て」
斉彬は止めて、名越に
「一言でいえることか」
「申せます」
「では、その隅へ参れ。一同、そのままでおれ」
斉彬は、こういって、立上った。名越も立上った。人々は、じっと俯向いていた。二人が、部屋の隅へ行くと、名越が
「密貿易の件にて、調所を、御老中へ訴えましたが――」
斉彬の柔和な眼の中に、鋭い光が閃いた。
「と、申すと、その方が――」
「いいえ、益満が――」
斉彬は、静かに元のところへ引返してきた。名越は
(益満のいった通り、お喜びにならぬわい。敵党の巨魁にしても、調所は、偉物は偉物なのだから――)
と、思って、後方からついて来て、斉彬の横へ座った。斉彬は、暫く黙っていたが
「益満の在所は?」
と、名越へ振返った。
「手前のところに引止めてござりまする」
「召出してくれんか」
「かしこまりましてござりまする」
人々は、何か、相当大きい事件が起っているにちがいない、と思った。名越と同志の二三人の若者は
「何事でござります」