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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
そして、益満を見ると
「待てっ、益満」
と、低く、叫んだ。
「話がある。入れ」
三人が、益満の前へ突っ立って、睨みつけた。益満は
(名越が、もう、自分の云ったことを、この人間に喋ったのか。呆れた小人)
と、思った。
「何んじゃ、この頭は?」
一人が、益満の頭を、指先で突いた。
「計は密なるを以てよしとす、とは兵法の初歩じゃ」
益満は、襖のところから、こう、大声で云いながら、部屋の中へ入った。六七人の、同志の、身分の低い、若い人々が、壁に凭れたり、柱によりかかったりして、腕組していた。
「何を云っとる。坐れ、益満。今日は、返事の如何により、許さぬぞ」
一人が、こういって、刀を、膝の前へ突き立てた。
「ただ今、名越殿から、以ての外のことを聞いた。吾々の前で、もう一度、名越殿へ申し上げたことを、申してみい」
いくらか身分の高い、齢の行った一人が、こういって、益満の正面から
「本心を聞きたい」
入口の襖のところへも、二人が、刀を持って、坐った。部屋の人々は、四方から益満を、睨みつけていた。
「本心を明かさぬと、斬るとでも、申すのか」
「いいや――」
「その明かした本心の如何に、よりじゃ」