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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens

Aozora Bunko

、上段、大上段、頭の頭上に振りかざし、当るを幸い、右左、前後左右に、前後、細かに切ったが千六本、細かく突いたがところてん。切られの与三が四十と八ヶ所、弘法大師は八十八ヶ所、斬ったの、突いたの、忽ちに、逃ぐるを追うて、駈込む本陣、徐かなること林の如く、迅きこと火の如しと、名高い孫子の一本旗。やれ、忝なし、嬉しやな。多年の恨みじゃ、信玄殿、この太刀食って、斃ばれと、えい、やっ、発止と、打ちおろせえーりー。さ、この勝負、いかがに相成るか、明晩の前講にて――」

南玉は、台へ両手をついて、頭を下げた。

「もっとやれえ」

「謙信が勝だに。知ってるで、俺あ」

「祝儀出すで」

蜜柑が、いくつも、飛んだ。南玉は、笑って、蜜柑を拾いながら、立上ると

「南玉」

(小太郎の声だが)

と、思って、その方を見ると、入口の横の羽目の前に、小太郎が、微笑しながら、立っていた。

「只今、只今っ」

と、周章てて叫んで、南玉は、楽屋へ入っていった。

「明日ありと、思う心の仇桜」

南玉の、大きい声が、段梯子の下でした。

「親爺、いい機嫌になって戻って来たの」

庄吉が、深雪を見て、微笑んだ。

「ほんに――」