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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
「泣くな」
と、叱った。
「はい」
「訳とは?――若旦那」
「綱手に、無理の無いところもある。然し、為すまじきことをした。宿命であろう。殺した者は、牧の倅じゃ」
「ち、畜生っ、矢張り、牧でござんすか。又何うして――その、すまじきこととは?」
「何れ、申す機があろう。深雪、お前も齢頃であるが、男には気をつけい。綱手は、それで、殺されたのじゃぞ。いや、殺されたと申そうより、我身で、我身を殺さねばならんようになったのじゃ」
深雪は、黙って、俯向いていた。膝の上へ、滴が時々落ちた。
「奥様は」
「国へ戻ったらしいが――母も、何うなったか――」
四人は、黙って、溜息をついているだけであった。
「庄吉」
「へえ」
「いろいろと、世話になったそうじゃが、礼を申すぞ」
「いいえ」
庄吉は、小太郎へ微笑んだ。
「乗りかけた船でござんして――」
「深雪、江戸へ、わしと一緒に戻れ。南玉と、庄吉とは、如何致す」
庄吉は、左手を懐へ深く突き込んで、俯向いてしまった。
「若旦那――江戸へ戻るのも、よろしゅうございますが、戻ると、深雪さんの身体が、危いのでねえ」
「何う危い」
「小藤次の野郎め、草を分けてでも、探すって惚れ方で、彼方一人なら、益満さんだって、こうして、わざわざ、お国へ送り届けるなんてこたあ、なさいませんが、何んしろ、あいつの後方には、七十七万石って