Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens

Aozora Bunko

子供も、若者も、ちりぢりになって――若者は、畠へ、子供は、走って、遊んでいた。

「討つ所存か」

小太郎は、編笠をとった。

「その疵は?」

広岡は、生々しい、小太郎の頸の疵を見ていった。

「叡山で、牧を襲って」

「そうだってのう。大した働きをしたと、聞いたが――」

広岡は、こういって、久光の方を、ちらっと、振向いてから

「益満が、引受けんで、わしへ廻って来たが、究竟の機じゃ」

「うむ」

「何うして、貴公は、また」

広岡は、一人の同志の来たことに、嬉しくもあったが

(もし、小太郎の方が、討ったなら、自分の立場が無くなる)

とも、考えて、こう聞いた。

「つい、ふらふらと――そこで、見たものじゃから」

「討つか?」

「さあ――」

久光の一行は、鷹を放ったらしく、小さい、黒点が、一直線に、昇って行った。その昇って行く下のところに、白い点が、急速度に閃いていた。黒点が、昇りつめたらしく、ぴたっと止まると、その瞬間、流星の落ちるように、その白い点の方角へ、落ちかかった。それは、正確そのもののように――そして、白点が、上下に、左右に、あわただしく閃く、と見る瞬間、黒と白とは一つになって、一直線に落下して、忽ち、見えなくなってしまった。