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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens

Aozora Bunko

そしたら、深雪さんが、はい、と、活溌に、聞き出しましょうって。お春のような、のべつに、操を破っている代物とは、代物がちがうんだぜ」

「おやっ」

「うるせいっ、おやおや、どっこい、すとひよっとこ。泣きもしねえで、はい、と答えた健気さに、益満さん、俺あ、肚の中で、泣いた」

「小藤次に、してやられて、口惜しいからだろう」

「黙ってろっ」

庄吉は、左手で徳利を掴んで、富士春を睨んだ。朋輩が

「よせったら――お春さん、暫く、黙って」

「ええ、でも、憎らしい、まるで人を、夜鷹かなんぞのように――」

「夜鷹? 手前なんざ、夜鳶だ、河童の屁玉に、のら猫だ」

「お上手で、恐れ入りやす」

益満が、笑った。

「笑い話じゃねえ。一体、武士が、一旦誓って置きながら、今更、知らん顔するたあ、ちっと、休さん、話がちがいますぜ。貴下は、命の恩人だ。だが、俺、もう命は要らねえから、返しますよ。ね、返しちまえば、五分と、五分だ。一体、何うしてくれるのか。小太郎さんも、深雪さんも、このまま見殺しにするのか、それとも、助けてくれるか、その返事が聞きたいんだ。返事の模様によっちゃあ、あっしにも、一寸、考えがあるんだ」