Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
見張が呟いた。
「乱暴者は、仕方がない」
二人は、森の中へ、又入った。そこから、名越左源太の別荘、韃靼冬の屋根が、木の間に見えていた。俊斎が、その門をたたいて
「水っ――有村だ」
と、叫んだ。すぐ、門が開いた。庭の人々も、縁側の人々も、一斉に、有村を見た。そして
「吉之助は?」
と、聞いた。
「吉之助どころか、大殿は、明日にも、御出立になるぞ」
庭の人々も、座敷の人々も、俊斎を見、俊斎の方へ寄ろうとした。そして、俊斎が、座敷の方へ歩いて行くので
「集まれ、皆上れ」
と、叫んだ。
「西郷吉兵衛が聞いて来よった。俺は、それを聞いて、吉之助んところを出て、柴山へ寄ってみたら、矢張り、そうだと、いっていた」
「洩れたか」
と、一人が、絶叫した。そして
「吾々の襲撃を怖れてであろう」
俊斎も、人々も、立ったままで、丸くなっていた。柴山が
「座につけ、周章ててはいかん」
と、云った。人々は、刀を引きずりながら、それぞれのところへ坐った。
「洩れたものなら、もう捕吏が来ておらなくてはならん筈だ。洩れたのではない」
「では、何うしてだ」
「吉之助は、何故来ん」
「大久保は?」
人々が、口々に喋り出した時