Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Read 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,573 characters · 178 screens
「お前は昨夜あの騒ぎの時どこに居たんだ」
「ここに居りましたよ。道具を片付けて、舞台の掃除をするのが私の役目で」
「与三郎は?」
「木戸を閉めて居たようで、ここからはお互によく見えます」
「もう暗くなって居る筈だが」
「手燭がありましたから、馴れると仕事には不自由しません」
平次はそれを宜い加減にして、土間を真っすぐに木戸へ行って見ました。
「これは親分方」
木戸番の与三郎は、塩辛声ですが世辞の良い男でした。二十七八の渋を塗って陽へ干したような、そのくせ何処か小意気なところのある若い衆です。
「昨夜、あの騒ぎの時、お前はどこに居たんだ」
「木戸を閉めておりましたよ、――お夢さんの悲鳴におどろいて、舞台にいた金さんといっしょに飛び込みましたが」
「木戸を閉めに来る前は?」
「皆んなといっしょに晩飯をやって居ました、――腹を拵えなきゃ、一と働きする力も出ません。何しろ半日怒鳴っている商売ですから」
「それまで木戸は開いて居たわけだな」
「ヘエ、いつものことで、――お夢さんの騒ぎがあってから思い出してまた木戸を閉めにここへ来ましたが」
平次と八五郎はそれっきりにして、もういちど住居の方へ引揚げました。