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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Read 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,573 characters · 178 screens
「あれも金太でしょう。あのとき舞台に居たんですから、一番火鉢に近かったわけで――」
「いや、木戸番の与三郎が見ていた筈だ。そんな隙はない――お夢の悲鳴を聴いて二人はいっしょに駆け付けている」
「それでは、火鉢を落したのは、お鈴ということになりますが」
「いや、あの娘ではない、――あの火鉢は娘の手に了えないほど重い、――それに自分が火鉢を落したものなら、火鉢の後から転げるように、一番先に二階から降りてお夢を介抱する筈はない。自分にやましいところがあれば舞台の方へ降りて、大廻りに廻って来るだろう。それに自分も綱を切られて大怪我をしている」
「すると、悪戯者は誰でしょう」
「お前は角の煙草屋へ行って看板娘のお清とか言うのと会ってくれ。お夢が怪我をした晩、囃子方の六助はどんな様子だったか。煙草は何を買って、煙草入はどんなものを持っていたか。いつもと違ったところがなかったか詳しく訊くんだ」
「ヘエ」
八五郎は飛んで行きます。平次はそのあいだ、楽屋裏のあたりを調べ、二階の火鉢のあるところで何やらやって居りましたが、まもなく八五郎は不得要領な顔をして戻って来ました。
「何うした八」