Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Read 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,573 characters · 178 screens
化粧をした、ジャラジャラした娘と違って、何んとなくこう神々しいじゃありませんか。――伊豆屋の若旦那が、食いつけなかったのも無理はありませんね」
「無駄を言うな、それ、もう伊豆屋だ。大した構えだな、お前が先に入って、御主人に逢いたいと言って見ろ、――お夏さんに逢ったなどと言ちゃならねえ、宜いか」
「ヘエ」
八五郎は心得て店から飛び込みましたが、しばらくすると恐ろしく酸っぱい顔をして戻って来ました。
「こいつは親分も見当はずれでしたよ。お嬢さんがもう四半刻も前に戻って、旦那の徳兵衛に打ちあけ、御主人が自分で出迎えましたよ」
「そんなことか」
これは平次も少し予想外だったようです。暖簾をくぐると、手代が二三人、帳場格子から立って来た五十男――それは言うまでもなく主人の徳兵衛で、
「これはこれは銭形の親分さん、娘が飛んだ御無理を申上げたそうで、申訳もございません。いやもうこの節の若い者と来ては」
と、揉手をするのです。筋肉質の確りした中老人で、柔弱だったという伜の菊次郎に此べて、これはまた、武家あがりと言った恰幅です。
「飛んだことでしたね、お嬢さんが仰っしゃるのもいちおう尤もで。