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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
「何だ、八」
「足がつきましたよ、親分」
「何の足だ」
「九百九十両の片らを使った人間があるんで」
「何だと?」
「あの長屋に、小判で買物をした奴があったらどうします」
「えッ」
「お角の阿魔ですよ。昨日越後屋へ行って単衣と帯を買って小判を出しましたよ」
「よし、行ってみろ」
二人は宙を飛びました。灸点横町へ来て、お角の家の格子を引開けると、
「御免よ」
飛込むのと一緒でした。
「まア、親分さん」
「お角、小判をどこから出した、隠しちゃ為にならねえよ」
いつにもなく平次もせき込んでおります。
「まア、いきなり飛込んで来て、――そんな事が訊きたいとおっしゃるの、親分さん。こ、こ、こ、小判は天下の通用金ですもの、どこにでもあるじゃありませんか」
お角は事もなげに笑いますが、平次の気込みを受けかねて、さすがに青くなっております。
「そんな言い訳を聞くんじゃない。小判をどこから出した、それを言って貰おうか」
「臍くりですよ、親分さん」
「えッ、しぶとい女だ。十両の上は盗みも打首獄門だ。黙って縄を打って引っ立てると、無事では済むまいぞ」
「…………」
いつにもない平次の激しさ、お角も度肝を抜かれて口を噤みます。