Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
「えッ」
「前から抜く手も見せず喉笛を切って、噴き出す血を浴びる前に逃出したんだ」
「…………」
「後ろから徳松が来たはずですぜ、親分」
ガラッ八が口を出します。
「その通りだ。前からはお吉が引っ返して来た、――が曲者は恐ろしい腕利きのうえ身軽だ。お菊を仕留めると、左手の生垣を一気に飛越えて、百姓地へ逃込み、騒ぎの始まった頃は、目白坂を下っていたよ」
「…………」
「生垣の中に足跡があったはずだ――今日はもう見えないが、その時すぐそれを見つけさえすれば、こんなに多勢縛るまでもなかった」
平次の言葉には何の疑いもありません。
「お吉は? 親分」
とガラッ八。
「何にも知らなかったのさ。お吉が下手人なら、濡れ手拭へわざと泥を付けたままにしておくよ。お吉は本当に風呂屋の入口で自分の手拭を拾ったから、女らしい心持で、その晩騒ぎの最中にも手拭の泥を洗っておいたんだろう。手拭を洗ったのが、お吉に罪のない証拠さ」
何という明察、――源吉も一句もありません。
「弥助は?」
ガラッ八はまだ堪能しない様子です。
「娘を助けたい一心だ――さア、縄を解いてもらって帰るがいい。お楽の手前、極りが悪かったら、俺が一緒に行って、よく話してやるよ。