Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens

Aozora Bunko

「…………」

お静の言うのは尤もでした。二度も三度も、明らかに自分の命を狙う者の細工を見せられては、どんな義理があるにしても、このうえ素姓の怪しいお楽を、同じ屋根の下には置きたくなかったのです。気の弱い、もの優しいお静が、思い切ってこう言うのですから、それは本当によくよくの思いだったのでしょう。

「お静」

「ハイ」

「お前は、俺がお上から十手捕縄を預かる身分と知って嫁に来たはずだな」

「…………」

平次の言葉は以ての外でした。嫁入ってから半年あまり、ツイ荒い言葉も聞いたことのないお静は、あまりの事に仰天して、平次の憤怒とも、疑惑ともつかぬ顔を見上げました。お静は息の詰まるような心持だったのです。

「縛られたり、打たれたり、顔へ怪我をしてさえ、一言も泣き言をいわなかったお前が、それくらいのことで、お楽を追い出せとは何ということだ。やはり嫉妬と言われても文句はあるまい――いや、言い訳は聞かない。身まで投げる気になったお楽を助けて、それが気に入らないというような女房は、俺の方でも考え直さなきゃアなるまい。お上の御用を勤めている身体には、いつどんな用事があるかも知れないのに、いちいち嫉妬がましい事を言われちゃ、御用が勤まらないというものだ」