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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
朝になると、飛出して一と風呂、お品が拵えてくれた飯を済ますと、そのままプイと飛出してしまいました。これより外には、女難除けの手段も考えられなかったのです。留守は多分、お品がいいようにやってくれるでしょう。しかし、事件は、その日のうちに急転直下して、凄まじい終局まで推し進んでしまいました。
その晩、町内の銭湯へ行ったお楽が、容易に帰らないと思っていると、
「あ、人、人殺しッ」
路地の中で大変な騒ぎが始まりました。
留守番のお品は飛んで出ました。お町が引揚げてしまった後、さすがにお品一人では淋しかったのです。
「何だ何だ」
あっちこっちから人が飛出して来ました。平次の家の近く、通りから少し入った一間の路地、一方は板塀で、一方は表を閉した貸家、その先が生垣で、共同井戸で、袋路地になっておりますから、日が暮れると滅多に人の通らないところです。
誰かが手燭を持出すと、
「あッ」
皆んな潮の引いたように退きました。恐ろしい血潮の中に、若い女が仰向けに倒れているのです。
「平次親分のところに居る人じゃないか」
誰かが言います。
紛れもなくそれは、お楽の取乱した湯上がり姿に相違なかったのです。