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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
「なんだ、八」
「穴の中で提灯が消えたから、引返そうかと思ったが、忌々しいから手探りで真っ直ぐに行くと、変なところへ出ましたぜ」
「茶店の床下だろう」
平次は何の気取りもなく、こんな事を言うのです。
「へッ、どうしてそんな事が?」
「近くて、人目に隠れて、穴の中へもぐり込めるという場所は外にないよ」
「さすがは親分だ。あっしは地獄の三丁目かと思いましたよ。どうかしたら、閻魔の屋敷の雪隠の床下かも知れないと思って這い出すと、眼の前に燃え残りの護摩壇が見えるじゃありませんか」
ガラッ八の話は手振りが交りました。
「怪談噺は後で聴くとして、それで、大方解ったよ。修験者東海坊は、やはり人に殺されたんだ」
「ヘエ?――」
「火伏せの行とかなんとか言って、さんざん賽銭と祈祷料をせしめた上、四方から火を掛けさせ、煙が一パイになった時を見測らって護摩壇の抜け穴から、茶店の床下へ抜けるはずだったんだ。そいつを仕掛けを知っている者に狙われて、床下から龕灯返しを塞がれ、多勢の見る前で焼け死んでしまったのさ。天罰と言えば天罰だが、この天罰は少しタチが悪い」
平次の説明して行くのを聴くと、東海坊が詭計の裏を掻かれて、猛火の中に死んだ経緯、一点の疑いもありません。