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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
併し近所に銀山も拓けて、漸々ここらも賑かになるから、※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)も山奥へ隠れて了って、余り出なくなるかも知れない。」
「そうですねえ。ここらも昔に比べると余ほど開けて来ましたから……。」
「土地の繁昌は結構だが、銀山の鉱夫などが大勢入込んで来たので、怪しげな料理屋などが追々殖えて来るのは些と困る。」と、安行は苦笑いした。
「今に山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)も料理屋へ上って、甚九でも踊るようになるかも知れません。ははははは。」
父子は笑いながら内へ入った。
今日は些とも風のない温かい日であった。午餐の済んだ後、市郎は縁側に立って、庭の南天の紅い実を眺めていると、父の安行が又入って来た。
「好い天気だな。何うだ。運動ながら吉岡の家へ一所に行かないか。吉岡の阿母さんに逢って、お前の婚礼を延すことを一応断って置こうと思うから……。」
「はあ、お伴しましょう。」
市郎は散歩が好であった。加之も未来の妻たるべき冬子の家を訪問するのであるから、悪い心地は為なかった。早速に帽子を被って家を出た。
近来賑かになったと云っても、矢はり山間の古い駅である。