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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
迂濶酔倒れている処を、攫って行かれちゃア大変だからね。ははははは。」
「大丈夫、※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)は既う何処へ行って了ってよ。」と、今度はお葉の声であった。
「ほんとうに過日の騒動は大変だったわねえ。」と、若い女が相槌を打った。
「妾あの騒動じゃア酷い目に逢って了った。」と、お葉が口惜そうに云った。
「お前も※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)に攫われたんだと云うじゃアないか。」と、客は笑った。
「嘘よ。妾はお杉婆の魔法遣いに電気を掛けられて、夢中でふらふら行ったんですわ。だから、何にも知りゃア為ないのに、警察では種々な詮議をして……。ほんとうに忌になって了った。角川の大旦那が殺されたと云うことも、家へ帰ってから初めて聞いた位ですもの……。」
「でも、若旦那は運が好かったのね。」と、若い女の声が聞えた。
「そうさ。危くお杉婆に殺される所を、若旦那が早く気が注いたんで、お杉の方が反対に穴の底へ墜落ちて死んだんですとさ。何でも人の話で聞くと、お杉婆の身体は粉微塵になって居ましたとさ。」
この説明はお葉の口から出た。