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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
今日は忠一が昼から遊びに来ていたが、此雪の為に今夜は泊る事となって、市郎の枕辺で相変らずの研究談に耽っていた。
「雪が降ると世間が静だね。」
「殊にここらは山奥だもの。」と、市郎は笑って、「まあ、これから来年の春までは、蛇や熊のように穴籠りをして居るんだよ。」
「穴籠りと云えば、※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)の奴等は此雪に何うしているだろう。」と、忠一は自ら問い、自ら答えて、「あんな奴等だから、雪の融けるまで何処かの穴にでも潜っているだろうね。」
「そうだろう。併しあの以来、※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)の噂も消えた様だよ。まあ、好塩梅だ。何しろ、金の兜は掘出物だったよ。」
「あれが真実の掘出物と云うのだろう。僕も県史や飛騨誌などを調査した結果、飛騨判官朝高という人物の伝記も大抵判った。※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)は愈よ元の蒙古に疑い無しだ。」
「そうかねえ。」
この時、庭の竹藪でがさりと云う音が聞えた。忠一は話を止めて耳を立てた。
「何、竹が折れたんだろう。」
「いや。」と、忠一は考えて、「竹の折れる程は未だ積るまい。