Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
頼朝が隠れたという大杉が先頃まで残っていましたが、今はもう枯れてしまいました。
旅人 それじゃあ里から遠くないんですね。
重兵衛 山の中と云っても、里は近いのです。わたしの家も直ぐ下の村で、女房や娘は百姓をしていますよ。
旅人 ひとりでここに住んでいるんですか。
重兵衛 ここは炭焼小屋ですから、わたしだけが住んでいるのです。
旅人 (あたりを見まわして。)ああ、炭焼小屋ですか。
重兵衛 (上のかたを指さす。)竈はこの小屋のうしろにあります。
旅人 成程。(うなずいて。)それにしても、ひとりて寂しくはありませんか。
重兵衛 馴れているから別に寂しいとも思いません。それに村が近いので、家の者も時々にたずねて来ますからね。今夜も子供がひとり泊りに来ています。
旅人 子供さんは幾つです。
重兵衛 年弱の七つですから、まだ本当の子供ですよ。
旅人 子供さんがいるなら、ここに好い物があります。(リュックサックの中から鮓の折詰を取出す。)これは汽車の中で買ったんですが、ここで蓋を明けることにしましょう。(折の蓋をあける。)
重兵衛 やあ、それは御馳走ですね。子供はさぞ喜ぶでしょう。