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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
)おまえは無暗に追い出したが、おれは何だか気の毒でならねえ。
おつや 冗談じゃあない。あんな人に、いつまでも居据わっていられて堪るもんか。(土瓶の茶をついで飲む。)ああ、忌だ、忌だ。ほんとうに寿命を縮めてしまった。
太吉 (そっと障子をあける。)怖い人、行っちまったかい。
おつや あら、また起きて来たの。、もう大丈夫だから、こっちへおいでよ。
(太吉は土間へ出て来る。重兵衛は無言で考えている。)
おつや 真逆これに毒が這入っているわけでもあるまい。もう誰もいないから、安心しておたべよ。
(おつやは海苔巻の鮓を取ってやれば、太吉は平気で食う。)
おつや 太ァちゃん。お前どうして、あんなに怖がったの。あの人がなぜ怖いの。
太吉 怖いよ。
おつや どうして怖かったんだよ。
太吉 怖かったよ。
重兵衛 (おつやに。)そういうお前はどうして怖かったのだ。
おつや さあ、なんと云っていいか。あたしにもはっきりとは云えないけれど……。ねえ。太ァちゃん。怖かったねえ。
太吉 むむ。怖かったよ。
重兵衛 (腹立たしそうに。)どっちも夢を見ているようで、何がなんだか云うことが判らねえ。