Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
と、考えて、「そこで、些と云い難いことだが、折角ここまで来たもんだから、念の為に窟の中を一応調べさして貰いたいんだが、何うだろうね。」
「判りました。あなたは妾を疑っているんでしょう。妾はこんな姿をして、乞食同様の生活をしていますが、人を攫ったり、殺したりした記憶はありません。山とは違いますからね。」
「それは僕も知っているが、まあ念晴しだ。検めても可いだろう。」
お杉は黙って市郎の顔を視ていた。
「可いだろう、鳥渡検めても……。」
「何うとも勝手にお為なさい。だが、倅の帰らない中に早く願いますよ。」
「倅は何処へ行った。」
「そこらへ木実を拾いに行きました。」
「そうか。」
市郎は窟へ五六歩踏込んだが、奥は暗いので何にも見えなかった。お杉は黙って窟の入口に立っていた。
「中は真暗だね。」と、市郎は外を顧って呼ぶと、お杉もつづいて入って来た。
「何か松明か蝋燭のようなものは無いかね。暗くって仕様がない。」
「松明もあります、蝋燭もあります。」
「何方でも可いから貸して呉れないか。」
お杉は黙って蝋燭に火を点けた。
「あなた、どうぞお早く願いますよ。ここへ倅が帰って来ると不可ませんから……。