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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
、第4水準2-80-51)では無いらしい。而も※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)とは大差ない程に見ゆる下級労働者らしい扮装で、年の頃は五十前後でもあろう、髪を長く伸して、尖った顔に鋭い眼を晃らせ、身には詰襟の古洋服の破れたのを着て、足には脚袢草鞋を穿いていた。其扮装を見て察するに、近来この土地へ続々流れ込んで来る坑夫か土方の仲間らしい。
「私は※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)じゃアありませんよ。御安心なせえまし。ははははは。」
男は笑いながら馴々しく近寄って来たが、市郎は容易に油断しない、蝋燭を突き付けたままで其顔を屹と睨んでいた。
「※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)はここに居まさあ。御覧なせえまし、此の醜態だ。」
男が笑いながら指さす我が足下には、何さま異形の者が倒れていた。先夜トムを殺した奴と確に同種類に相違ない。赭土色の膚で、髪の長い、手足の長い、爪の長い、人か猿か判らぬような怪物である。彼は市郎の靴で額の真向を蹴破られたと見えて、濃黒いような鮮血が其凄愴い半面を浸していた。