Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lesen Sie 三国志 (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.356 Zeichen · 323 Bildschirme
野に真人あり
一
審配の忠烈な死は、いたく曹操の心を打った。
「せめて、故主の城址に、その屍でも葬ってやろう」
冀州の城北に、墳を建て、彼は手厚く祠られた。
建安九年の秋七月、さしもの強大な河北もここに亡んだ。冀州の本城には、曹操の軍馬が充満した。
曹操の嫡子曹丕は、この時年十八で、父の戦に参加していたが、敵の本城が陥るとすぐ随身の兵をつれて城門の内へ入ろうとした。
当然、落城の直後とて、そこは遮断されている。番の兵卒が、
「待てっ、どこへ行くか。――丞相のご命令だ。まだ何者でも、ここを通ってはならん」
と、さえぎった。
すると曹丕の随臣は、「御曹司のお顔を知らんか」と、あべこべに叱りとばした。
城内はまだ余燼濛々と煙っている。曹丕は万一、残兵でも飛びだしたらと、剣を払って、片手にひっさげながら、物珍しげに、諸所くまなく見て歩いていた。
すると、後堂のほの暗い片隅に、一夫人がその娘らしい者を抱いてすくんでいた。紅の光が眼をかすめた。珠や金釵が泣きふるえているのである。
「――誰だっ?」
曹丕も足をすくめた。
かすかな声で、
「妾は、袁紹の後室劉夫人です。むすめは、次男の袁煕の妻……」