Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lesen Sie 三国志 (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.356 Zeichen · 323 Bildschirme
五
思わず、それへ膝を落すと、関羽はふと面を向けて、
「何者だ」と、しずかに咎めた。
逃げる気にも隠す気にもなれなかった。彼は敬礼して、
「王太守の従事、胡班と申すものです」と、云ってしまった。
「なに、従事胡班とな?」
関羽は、書物のあいだから一通の書簡をとり出して、これを知っているかと、胡班へ示した。
「ああこれは、父の胡華よりわたくしへの書状」
驚いて、読み入っていたが、やがて大きく嘆息して、
「もしこよい、父の書面を見なかったら、わたくしは天下の忠臣を殺したかもしれません」
と王植の謀計を打ち明けて、一刻もはやくここを落ち給えとうながした。
関羽も一驚して、取るものも取りあえず、二夫人を車に乗せて、客舎の裏門から脱出した。
あわただしい轍の音を聞き伝え、果たして八方から炬火が飛んできた。客舎をつつんでいた枯れ柴や焔硝はいちどに爆発し、炎々、道を赤く照した。
その夜。王植は城門を擁してきびしく備えていたが、却って関羽のため、忿怒の一刃を浴びて非業な死を求めてしまった。
五
胡班は、彼を追うと見せて、城外十数里まで、追撃してきたが、東の空が白みかけると、遠く、弓を振って、それとなく関羽へ別れを告げた。