Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lesen Sie 三国志 (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.356 Zeichen · 323 Bildschirme
「おのれ、笑ったな」
「笑わざるを得ない」
「盗ッ人の小謡というやつ。もう堪忍ならぬ」
りゅうりゅうと矛をしごいて、ふたたび関羽に突きかかる様子に、車上の二夫人は思わず簾を払って、
「張飛、張飛。なんで忠義の人に、さは怒りたつぞ。ひかえよ」と、さけんだ。
張飛は、振向いただけで、
「いやいやご夫人、驚きたもうな。この不義者を誅罰してから、それがしの古城へお迎えします。こんな二股膏薬にだまされてはいけませんぞ」と、云い放った。
甘夫人は悲しんで、出ない声をふりしぼり、張飛の誤解であることを早口になだめたが、落着いてほかのことばに耳をかしているような張飛ではない。
「関羽がどう云い飾ろうと、真の忠臣ならば、二君に仕える道理はない」と、きかないのである。
ところへ、後からきた孫乾は、この態を見て、あれほど自分からも説明したのにと、腹を立てて、
「わからずやの虎髯め。粗暴もいい加減にいたせ。関羽どのが一時、曹操に降ったのは、死にもまさる忍苦と遠謀があってのことだ。汝の如き短慮無策にはわかるまいが、謹んで矛をうしろにおき羽将軍のことばを落着いて聞くがいい」と傍らから呶鳴った。