Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Lesen Sie 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 151.766 Zeichen · 303 Bildschirme
丈吉君の首の上から、なにか、かたいものが落ちてきて、ぐっとおさえつけたのです。
びっくりして、首をひこうとしましたが、もうだめでした。そのかたいものがじゃまをして、首を穴からもどすことが、できなくなってしまったのです。
穴は手が出せるほどひろくありませんので、手でそのかたいものを、のけることもできません。
首をうんと上にあげて、おしもどそうとしましたが、かたいものは、びくともしません。そればかりか、じりり、じりりと、下のほうへ、おりてくるのです。
ああ、わかりました。丈吉君の首をおさえつけているのは、大時計の長針だったのです。分をきざむほうの長い針だったのです。
今は午後三時すぎですから、長いほうの針が、二十二、三分のところまでおりてきたのでしょう。そのころに、ちょうど、丈吉君ののぞいている穴の前を、長針がとおるわけです。
時計の針といっても、長さ二メートル半、はばは三十センチもある、頑丈な鉄の板ですから、丈吉君の力では、とても、おしもどすことはできません。
大時計のふりこが、ひとふりするごとに、巨大な歯車じかけで、その針は、じりッ、じりッと、下へおりてくるのです。